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(司馬さんの書斎)

「二十一世紀に生きる君たちへ」は
司馬遼太郎さんが自身の晩年に、未来を担う子どもたちに向けた書いた文章のタイトルです。

この文章を書き終えたとき、
司馬さんは担当の編集者に「長編小説を書くほどのエネルギーがいりました」と話したそうです。

自然のこと、人間のこと、歴史のこと、
この文章に触れるといつも心が洗われる感じがします。

以下、一部抜粋。

「むかしも今も、また未来においても変わらないことがある。そこに空気と水、それに土などという自然があって、人間や他の動植物、さらには微生物にいたるまでが、それに依存しつつ生きているということである。
自然こそ不変の価値なのである。人間は空気を吸うことなく生きることができないし、水分をとることがなければ、かわいて死んでしまう。
さて、自然という「不変のもの」を基準において、人間のことを考えてみたい。
人間は、 ーくり返すようだがー 自然によって生かされてきた。古代でも中世でも自然こそ神々であるとした。このことは、少しも誤っていないのである。
歴史の中の人々は、自然をおそれ、その力をあがめ、自分たちの上にあるものとして身をつつしんできた。」

司馬さんの作品にお世話になっている人は、ぜひ一度は大阪の司馬遼太郎記念館に足を運んで欲しいです。
本人の当時の書斎、高さ11メートルの書架とそこにおさまる約2万冊の蔵書を眺めているだけでも普段味わうことができない気持ちを味わうことができるのではないか、と思います。